私は建築の構造設計を主な業務としています。
前職では構造設計事務所に勤務し、耐震診断・耐震改修を中心に、少しだけ新築物件の構造設計を行っていました。
この記事では私の経験した範囲で、構造設計という仕事について書きます。
- 構造設計という仕事に興味がある
- 建築関係の仕事に就きたい
- 建築科に通っている学生
- 30代 男性 会社員
- 一級建築士
- 建築構造設計が専門業務
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構造設計が向いている人
- 建築が好き
- 数学が好きor得意
- 地味な作業を毎日続けることが苦ではない
建築士の仕事
建築設計の仕事は大きく分けると意匠設計、設備設計、構造設計の3つに分けられます。
一般的に「建築士」と言って皆さんの頭に浮かぶのは、意匠設計をしている建築家です。
”意匠”とはざっくり言うと”デザイン”という意味で、家やマンション、公共施設など、お客さんが建てたいと思った様々な建物をゼロから設計する仕事になります。
次に、設備設計という仕事があり、これは建物の電気や空調設備に関する設計をする仕事となります。
そして私がやっている構造設計というのは、意匠設計者が考えた建物が実際に建てられるよう、建物の骨組みを設計する仕事になります。
日本は地震大国なので、地震に対して耐えられるよう柱や梁(柱と柱を横方向に繋ぐ部材)のサイズを計算して決めたり、地震だけではなく風による力や、大雪が降っても建物が耐えられるよう設計します。
日本で建てられる建築物は基本的に木造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造の三種類です。
構造設計者が検討することは建物が何造なのかによって考えることが違います。
例えば、木造なら使用する木材の種類やサイズを決めます。
鉄筋コンクリート造なら柱や梁の大きさ、コンクリートの中に入れる鉄筋の数を計算します。
鉄骨造なら柱を四角にするか、H型鋼にするかを決めます。
また基礎については地盤調査をして杭を打つべきか、地盤の上に直接基礎として建物を建てても問題ないかなどを検討します。
細かく言うともっとたくさん検討することはあるのですが、簡単に言うとこんな感じです。
私が構造設計を選んだ理由
デザインが不得意
建築士を志したのは、建物を設計するのってかっこいいなと思ったからです。
しかし大学で勉強をする中で、私はデザインがやりたかったけど、デザインは苦手だと気付いてしまいました。
もちろんデザインが苦手だからと言って意匠設計という仕事が絶対に出来ないということではないですが、私はやりたいけど苦手な事より、得意なことを仕事にすることを優先しました。
数学が得意
私が大学の研究室を選ぶ際、ある先生から、「学内で構造力学が1番わかっているのはお前だ」と言ってもらいました。
意匠は向いてなさそうだし、小学生の頃から数学が得意科目であることは自覚していたので、私は構造の研究室を選びました。
どの分野もそうですが、構造設計もそう簡単に理解できるものではありません。
建物にどんな重量が床に掛かるのか、その重さは柱や梁にどのように伝わるのか。
地震力や風圧力が掛かった時、どのような力の流れになるのかを想像しながら建物の設計をします。
私もまだまだわからないことばかりなので、日々勉強して、知識を少しずつ積み上げています。
構造設計の面白さ
建築設計の仕事は、意匠、設備、構造の全てが揃わなければ建物として成り立ちません。
意匠設計者がいなければ建物そのものの設計が出来ませんが、構造設計者がいなければ、意匠設計した建物が実際にこの地球上に建つことはありません。
構造設計に限らず建築設計の仕事は基本的には地味な仕事で、パソコンと向き合って計算をし、CADで図面を書くという作業を毎日繰り返します。
建築設計はどの分野でも生涯勉強し続けなければなりませんし、とても難しい仕事ではあると思いますが、それでも実際に自分の設計した建物が数十年残り続けるのだと思うと、やりがいや喜びを感じられると思います。
私の仕事との向き合い方
上の「構造設計の面白さ」では、仕事のやりがいについてそれっぽいことを書きましたが、私はこの仕事についてそれほど深い情熱を持っているわけではありません。
カッコいい建築物を見るのは確かに好きですが、それを自分が設計したいかと言うと別の話です。
奇抜な建物は計算が難しいので出来るだけやりたくなく、仕事で設計するならシンプルな建物だけ出来ればいいと思っています。
2022年現在は、設計事務所も徐々に職場環境が改善され、残業が少なくなっている所も増えてきていると思います。
しかし、まだまだ設計事務所の給料は安く、朝から晩まで、忙しいときは徹夜して仕事をしている事務所も多いのが現状だと思います。
”好き”だけでは仕事はやっていけないし、無理をして身体を壊してしまっては意味がありません。
日々の仕事は、自分のやるべきことは真面目に取り組んでいるつもりですが、残業も徹夜も構わずバリバリ仕事をしようというつもりはないです。
それでもパソコンで図面を書いて、計算をするという作業は、私自身好きでもあるので、今のところこの仕事を続けるつもりでいます。
設計の仕事は検討内容は似ていても、全く同じ建物というのは基本的にありません。
物件が変わるたびに新しいことを学ぶ必要があるので大変ではありますが、構造設計は嫌いではないので、今後も頑張っていこうと思っています。
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設計の仕事をするにあたって大事なのは、現場を知っていることです。
「施工がわかるイラスト建築生産入門」は、工事の各工程がとてもわかりやすく書いてあります。
設計者もたまに監理者として現場に行くこともあるでしょうが、それだけではなかなか勉強ができません。
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まとめ
家や大きな建物を設計したいと思い建築士を目指していたけど、意匠設計は出来ないかもと諦めてしまう方は多いと思います。
それでも建築に携わろうと思えば、構造設計や設備設計という仕事があります。
会社の中でじっとしているのが無理な人は、現場監督や職人になるという道もあります。
構造設計は計算が得意な人、CADで図面を書くのが好きな人、地味な作業が好きな人に向いている仕事だと思うので、進路に迷っている方は構造設計という仕事も選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
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