- 仕事がきつい
- 休みが少ない
- ストレスでおかしくなりそう
現場監督は、建設現場の工程管理・安全管理を行う現場においてとても重要な役割を担う仕事。
大きなやりがいもありますが、仕事がきつくプレッシャーが大きいというデメリットもあります。
私は新卒で地方のゼネコンに就職。
しかし、どうしても現場監督という仕事が合わず、2年間で勤めたゼネコンを退職しました。
- 残業が多い
- 休みが全然ない
- 仕事量に対して給料が安すぎる
その後、建築設計事務所に転職し、現在は一級建築士として企業に勤めています。
現在では、あの時無理をせずにゼネコンを辞めて本当に良かったと思っています。
この記事では、
- 現場監督を辞めてよかったこと
- 現場監督を辞めたその後
を紹介します。
現在ゼネコンに勤めているけど転職を考えている、職場に不満のある方は参考にしてください。
- 30代 男性 会社員
- 一級建築士
- 地方の現場監督を辞めて上京
- 東京の構造設計事務所へ5年間勤務
- 東京から地元・広島の企業へ転職
- 転職エージェントを活用して転職に成功
現場監督を辞めた理由
私は大学卒業後、新卒で地元・広島にある小さなゼネコンに就職しました。
「現場監督は午前様」と言われていることは知っていて、ある程度キツイ仕事であることは覚悟していました。
しかし、現場監督の仕事は想像以上にキツく、私には続けることは難しいと思い、2年で退職。
退職を決めた理由を以下で紹介します。
残業が多かった
現場監督の仕事は、基本的に現場の工程管理・段取り・安全管理です。
そのため、現場監督自身が職人のように現場で作業することはないのが一般的。
しかし、私が勤めていた地方のゼネコンは、お金がないからなのか、下請け業者に依頼できない仕事は自分たちでやる必要があり、日中は作業をし、職人と共に汗を流していました。
また新卒だからということもあり、仮設工事、土工事、鉄筋工事など、手伝える仕事は手伝っていました。
17時になれば職人は仕事が終わりますが、17時以降は書類作成、写真整理などの現場監督としての仕事があります。
日中は書類関係の仕事が全くできないので、深夜まで帰ることは出来ず、朝まで現場事務所に泊まりこんで仕事をしていたことも。
これが現場監督の当たり前と思って仕事をしていました。
基本的にサービス残業をしていた
残業は毎日していたし、土日に出勤するのも当たり前でした。
そんなに働けば残業代がたくさん付くはずですが、私が勤めていた会社では残業を付けられるのは20時間/月まででした。
残業を正直に付けると、残業代がものすごい金額になりますし、労働基準監督署から目を付けられるからでしょう。
まさに典型的なブラック企業でした。
休みが少なかった
2024年現在、建設業界も週休2日を確保する方向へ進んでいます。
しかし、私がゼネコンで働いていた頃はそのような話は全くありませんでした。
土曜日は当然出勤、日曜日もよく出勤していました。
祝・祭日も現場は稼働するので、いつ休むの?という状況が続きました。
給料が少なかった
大手のゼネコンで働く現場監督は、忙しくてもそれなりに給料が高いのが特徴です。
しかし、私が勤めていたような地方の小さなゼネコンは儲かっていないため、
- 残業代が付かない
- 休日出勤手当がない
- ボーナスがない
と給料が高くなる要素が皆無でした。
年収は300万円程度で、忙しいのに給料も少ないという状況でした。
人間関係が大変だった
現場監督は下請業者の職人たちをまとめる必要があります。
現場の職人たちは、新卒の私から見るとおじいちゃんと言ってもいいようなベテラン職人や、ヤンキー上がりのイケイケな兄ちゃん達が多い。
このような濃い人間をまとめるのはとてもハードルの高いことでした。
人間関係は慣れてくれば問題なくなるものの、慣れるまでの精神的な負担は相当大きなものでした。
新卒の小僧の言うことなんて聞いてくれない職人もいて、そんなときは先輩監督から言ってもらうよう相談していました。
寝る時間がなかった
現場は朝8時のラジオ体操から始まります。
現場には朝8時までに着けばいいのではなく、職人よりも早く行って現場のカギを開けておく必要があります。
現場が近ければ朝もゆっくりできますが、家から現場までの距離が遠いほど、朝起きる時間は早くなります。
前日の夜は夜遅くまで書類整理をして、次の日の朝も早起きなので、十分な睡眠時間を確保するのは困難でした。
ストレスで太った
仕事ばかりで休みがないため、ストレスを発散する暇がありません。
そんな日々の中、毎日必ずあるのは食事です。
この食事でおいしいものを食べてストレス発散しようとすると、当然太ります。
私は現場監督として働いていた頃、実家暮らしでした。
家に帰れば母親が用意した食事がありますが、深夜まで残業をしているとお腹がすきます。
そのため、残業のためにマクドナルドや牛丼などを夕方に食べ、深夜に帰宅してから母親の手料理を食べていました。
このような生活をしていると、1年も経たないうちに10kg増量し、人生の最高体重を記録しました。
職場の飲み会が全く楽しくない
建設業界ではよくあることかもしれませんが、私の勤めていたゼネコンも酒好きが多く、仕事終わりの飲み会もよくありました。
その飲み会が楽しければいいのですが、いつも上司の愚痴を聞くばかりで全く楽しくない。
男社会ということもあり、二次会は大抵スナックへ。
「こんなことをしている暇があれば、早く帰って寝たいのに……」といつも思っていました。
このまま働いても明るい未来は見えないと思った
仕事をしていても辛いだけで楽しくない毎日。
毎朝起きるたびに、仕事に行きたくないと思うようになりました。
上司も毎日同じような生活。数十年後もこんなふうに仕事しかしない人生なら、逃げ出すしかない思いました。
本気で〇したいと思うほどクズな上司がいた
上司の中には「この人となら一緒に仕事をしたい!」と思える人もいましたが、全員がそうではありません。
中でも1人、本気で〇したいと思うほどクズな上司がいました。
そいつは一級建築士の資格は持っていましたが、全く実力の伴わない建築士。
新卒の若僧にわかるはずのない問題を出し、「そんなこともわからないのか!」と悦に浸っていました。
常に公共建築工事標準仕様書 建築工事編を持ち歩いていて、その内容に関する問題を出してきます。
そのくせ、監理者の一級建築士が来た時には質問に答えられず、大汗をかいて黙っていました。
そのような日の夜は私のような若僧に八つ当たりをし、憂さ晴らしをしていました。
現場にある厚い本やファイルでヘルメットの上からどつかれることもあり、温和な性格である私も「こいつ、いつか〇ロス……!」と思うように。
この上司には恨みしかありませんが、こいつを反面教師として、こんな大人にはなるまいと心に誓いました。
現場監督を辞めてよかった!転職後の話
現場監督として働いていたときは毎日仕事ばかりで楽しいことがありませんでした。
仕事を辞めてみると、今までわからなかったこと、考えが及ばなこっとことに気付けました。
以下で現場監督を辞めてよかったことを紹介します。
ゆっくりと将来について考えた
現場監督をしていたころは仕事とプライベートが8:2くらいの割合だったため、将来について考える時間もありませんでした。
仕事を辞めると時間ができるので、将来についてゆっくり考えることができます。
「仕事ばかりの人生でいいのか?」
このような不安がある方は、思い切って仕事を辞めてみて、一度ゆっくり考える時間を作るのもいいでしょう。
バイトをして「働く」ということについて改めて考えた
サラリーマンとして働いていると、毎月ほぼ定額が銀行に振り込まれます。
すると、”自分が何をしてお金を稼いでいるのか”がわからなくなります。
また、現場監督は建築物を作る仕事。
完成後にお施主さんが使っている様子を見ることは基本的にないので、お金の出所がわかりづらいです。
私はゼネコンを辞めたあと、数ヵ月間居酒屋でアルバイトをしました。
バイトは働いた時間の分だけお金をもらいます。
当然、バイトのシフトを入れなければお金は入りません。
さらに、居酒屋ではお客さんが楽しんでいる姿を直接見ることができ、お会計でもらったお金が自分の給料になるという実感もわきやすい。
「自分はなぜ、なんのために働くのか?」
お金のため?誰かを喜ばせるため?
この疑問の答えが手っ取り早く見つかりやすいのがアルバイトだと私は思います。
人はなぜ働くのか、わからなくなっている人にアルバイトはおすすめです。
構造設計事務所に転職して内勤で働く心地よさを知った
現場監督を辞めて、次に働くのはデスクワークがいいと思いました。
現場監督は外にいることが多いので、当然夏は暑く、冬は寒いです。
雨の日の外での仕事も大変。
内勤ならエアコンの効いた場所で仕事ができます。
私は構造設計事務所に転職し、その後また企業に転職。設計士として内勤をしています。
現場監理や現場調査で現場に行くことはありますが、現場はたまに行くくらいがちょうどいいです。
一級建築士の免許を取得して自ら稼ぐ力を身に付けた
地方の小さなゼネコンで働いていたころ、「そろそろ潰れるのでは?」という話が何度かありました。
幸い潰れることはありませんでしたが、給料はとてつもなく低く、倒産の噂が社内で出るのも当然でした。
会社はなにかあったとき、従業員の生活のすべてを保証してくれません。
私は、自ら稼ぐ力を身に付ける必要があると思いました。
そこで、転職後は一級建築士を取ることに決め、2018年に無事に一級建築士免許を取得。
資格を取ったことで、設計事務所から企業への転職もすんなり決まりました。
建設業界で働く人は、一級建築士の資格をぜひ持っていてほしいです。
未来の不安を少しでも減らすために、今できることを精一杯やっておきましょう。
自分の得意を活かして働く
私は建築士になりたくて大学へ行ったものの、大学の勉強をする中で自分は意匠設計に向いていないことに気付きました。
しかし、計算は得意だったため、転職後は構造設計の道へ進むことに決めました。
現場監督のように多くの人間をまとめる仕事はツライだけでしたが、設計士のように地味なデスクワークを淡々とする仕事は向いているようです。
人には不得意なこともありますが、必ず得意なことがあります。
それを見つけるのは大変なことですが、得意なことを活かして働くことを考えてみましょう。
設計事務所からさらに転職してワークライフバランスを獲得した
ゼネコンを辞めたあと、構造設計を学ぶために構造設計事務所に転職しました。
構造設計は難しい仕事ですが、現場監督よりは確実に自分に合っていたし、これなら続けると思いました。
ただ、設計事務所は
- 給料が安い
- 残業が多い
- 休みが少ない
と、ゼネコン時代と同じような問題に直面。
幸い一級建築士免許を取得できたため、この資格を活かして比較的大きな企業に転職しました。
転職したことで給料も上がり、ワークライフバランスの取れた働き方ができるようになりました。
ゼネコンを辞めていなければ、今の自分はありません。
今の職場環境に不安のある方は、勇気を持って次の仕事を探してみましょう。
私のように明るい未来が開けるかもしれません。
現場監督として働いてよかったこと
最後に、現場監督として働いてよかったことも書いておきます。
現場監督として働いた2年間は辛いことばかりでしたが、ゼネコンで働いてみてよかったと思ったこともあるので紹介します。
建築物が出来上がるまでの流れがわかる
基礎工事から仕上げ工事まで、建築が出来上がるまでのすべての工程を直接見られるのは現場監督という仕事だけでしょう。
建築の仕事に携わる人間にとって、現場を知っているというのはとても大きなことです。
建築設計の仕事をしている今思えば、建築物が出来上がるまでの過程を見れたことは、現場監督として働いていてよかったなと思うことの1つです。
段取りの能力が身に付く
現場監督は段取りができてなんぼです。
段取りができていなければ、現場は円滑に進みません。
段取りの能力は現場監督としての仕事に限らず、他の仕事においてもとても重要です。
現場で学んだ段取り力は、他の仕事でも活かすことができます。
多くの人間をまとめる能力が付く
現場監督は多くの基礎工事から仕上げ工事に至るまで、多くの業者をまとめる必要があります。
年配から若い職人、いろんな人をまとめなければなりません。
多くの人と関わるのは大変ですが、現場監督ほど多くの人と関わる仕事もないので、いい経験になります。
細かい納まりがわかる
室内で設計をしているだけでは細かな納まりを学ぶことはできません。
現場監督という仕事が自分には合わないことがわかった
あまり多くの人間と関わる仕事が自分には向いてないのではないか?ということがわかりました。
私は学生時代にバスケットボール部に所属していたため、協調性があり、多くの人と関わる仕事が向いていると思いこんでいました。
しかし、実際にはCADで黙々と図面を書いたりするような地味な作業が好きであることに気付きました。
自分の得意なこと、不得意なことがわかったのは良かったと思います。
未来について真剣に考えるようになった
地元のゼネコンに就職することは、あまり深く考えることなく決めました。
私が新卒で就職活動をしていた年は、就職氷河期と言われ、内定を1つもらうのもとても困難な時期でした。
そのため、とにかく早く就活を終わらせること、1つでも内定をもらえればそこで働けばいいと思い、将来について真剣に考えることができていませんでした。
しかし、現場監督を辞めることを決めたとき、将来についてもっと真剣に考えないといけないということに気付きました。
自分の将来を考えるという、いかにも面倒なことから、決して逃げてはいけません。
将来をいい加減に考えていると、必ず後で後悔します。
少々キツい仕事なら耐えられるようになった
現場監督として働いていたときは体力的にも精神的にもとてもつらかったです。
しかし、現場監督時代のきつい仕事を経験したことで、これ以上キツイ仕事はないのではないかと思うようになりました。
少々残業が合ったり、上司にきつく言われても、多少のことなら耐えられます。
できることならツライ経験はしたくありませんが、経験したことで耐性は付いたと思います。
苦労は若い時にしたほうがいいと思います。
会社に頼らず、自分で稼ぐ力を身に付けるべきだと気付いた
会社はあなたのことを守ってくれる場所ではありません。
学校のように教育を受ける場所ではなく、会社のため、社会のために貢献できるよう働く必要があります。
会社はいつ潰れるかわからないし、急に転勤しろと言われ、行きたくもない土地へ送られることもあります。
転職するとき、私は自分で稼ぐ力を身に付ける必要があると思いました。
会社になにか問題が起きたり、自分が今の会社でどうしても働けなくなったとき、自分自身の力で稼ぐ方法を身に付ける必要があります。
現場監督を辞める時、私は一級建築士の資格を取って自分で稼ぐ力を身に付けることを心に誓いました。
人間関係の大切さがわかる
他人と人間関係を作りながらの仕事は大変なことです。しかし、うまく関係を築くことができれば、自分のツライ時に助けてくれます。
人が助けてくれるのは、人間関係ができているからこそです。
最初は難しい人だな、と思っていた人でも、一緒に仕事をして相手のことを気遣って接することで、いつしかいい人間関係に発展することがあります。
人は一人では決して生きていけません。人間関係の大切さを知れたことは大きな財産です。
職場を綺麗に保つ意識が身に付く
建設現場は整理整頓がとても大事です。
整理整頓のできていない、道具が散乱している、材料がきれいに置かれていない、このような現場は事故やケガの危険性があり、いい現場とは言えません。
現場を綺麗にして、職人が気持ちよく仕事をできるような環境作りに努めるのも現場監督の大事な仕事です。
職場を綺麗に保つことの重要性は、どの仕事においても共通です。現場ではこの大事なマインドを学びました。
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