こんにちは、やまだ(@ymdblog)です。
6月4日(金)から7月11日(日)まで恵比寿ACM GalleryでGOMA展2021が開催されます。
ディジュリドゥ奏者で、画家でもあるGOMA。
外出することも難しい日々が続いていますが、関東近郊にお住まいの方でGOMAを知らない方に知っていただくきっかけになればと思い、この記事を書きました。
GOMA展2021
GOMA展2021
会期:2021年6月4日(金)→7月11日(日)入場無料
会場:ACM Gallery 東京都渋谷区恵比寿西1−4−11 福隆ビル1F
時間:午後12:00から午後8時まで。最終日は16:00閉場
GOMAとは
GOMA
大阪府出身のディジュリドゥ奏者。
点描画を描く画家でもあります。
2009年に交通事故に遭い、高次脳機能障害を発症。
事故以前の記憶が曖昧になり、前日のことも記憶することができない記憶障害や、感情のコントロールが効かない、集中力が持続出来ないなど、多くの障害に苦しみます。
またその日を境に、不思議なことにそれまで描いたこともない点描画を描き始めました。
ディジュリドゥの音は心臓まで響くような低音が特徴。GOMA&Jungle Rhythm Sectionのバンドサウンドを聴いているとトランス状態になりそう!
サヴァン症候群
GOMAさんは事故による後遺症で高次脳機能障害を発症しましたが、その後、点描画を描き始めました。
これはサヴァン症候群によるものです。
サヴァン症候群は生まれつき特定の分野で突出した才能を発揮することを言います。
分析能力や記憶力が優れているなどです。
生まれつきではなく、脳へのダメージがきっかけで起こることもあります。
これが後天性(獲得性)サヴァン症候群です。
例としては、急にピアノを弾けるようになったり、天才的な数学者になる人もいるようです。
GOMAさんの場合は、事故をきっかけに絵を描くようになりました。
GOMAの日記を記した書籍
意識が戻って家に帰ってきた時、自分は画家だと思っていたみたい。笑ける!
“失った記憶 ひかりはじめた僕の世界”より
GOMAさんの著書に、「失った記憶 ひかりはじめた僕の世界 ―高次脳機能障害と生きるディジュリドゥ奏者の軌跡」があります。
この本は、事故から約6年後の2016年に出版されました。
2009年に事故に遭ってから”外付けの記憶装置”として書き始めたご本人の日記のうち、約三年間分がまとめられています。
日記を読むと、人間の強さと弱さの両面が見えます。
朝起きると昨日の記憶がない。
感情のコントロールが効かない。
今までできたことができない。
集中力が持続できない。
事故前までは音楽をやっていたのに、意識が戻って家に帰ったときには自分のことを画家だと思っている。
フジロックというフェスがどれほど大きいものなのかもわからない。
映画や小説のような話ですが、実際にこの病気で苦しんでいる人がいることがわかります。
GOMAさんも高次脳機能障害と診断されるまでは、原因がわからず苦しみました。
脳の傷がわかるドクターと、わからないドクターがいます。
脳の傷を見付けてもらうまでは、ただ自分の頭がおかしくなったのだと思うしかありません。
高次脳機能障害に詳しいドクターに出会えたとわかった時は、日記を読んでいる私もほっとしました。
日記の中ではライブをやって、フェスにも出て、個展をやってといろいろ活動しているので、もう大丈夫なんじゃないかと一安心しても、やはり記憶は全然戻っていないようで様々な問題が起きます。
それでも前向きに、事故前の自分に戻ろうとするのではなく、新しい自分に会いに行こうとするGOMAさんのポジティブな心の強さを何度も感じて心が震えました。
本だけでなく「フラッシュバックメモリーズ」という映像作品もあるので、GOMAさんに興味を持たれた方には一度観てほしいなと思います。
本には奥さんの日記もいくつか掲載されており、GOMAさんを最も近くで見ていた人の感情がわかるのも貴重です。
奥さんも娘さんも、とても辛い経験をしたはずですが、家族で支えあい、諦めずに前を向いて生きる道を選んだことに心からの尊敬と感謝の気持ちでいっぱいになります。
GOMAの作品 ”点描画”
GOMAさんの絵は”点描画”というたくさんの点で表現された作品です。
シンプルなものもあれば、幾何学模様のような複雑なものもあります。
著書を読むと、絵を描いている本人にも出来上がるまでどんな作品になるのかわからないようです。
中には手塚治虫の火の鳥をモチーフにしたものもあります。
GOMAさんの絵を見るまでは漫画・火の鳥を読んだことはなかったのですが、絵を見てから火の鳥は絶対読んだ方がいい漫画なのだろうだなと思いました。
火の鳥は生まれ変わり、因果応報などがテーマの作品だと思います。
自分のしたことは全て自分や祖先に返ってくる。
死んだあとの世界なんてわかりませんが、徳を積めば天国に行けたり、来世でもっといいことがあるのではないかと思わせられます。
私はこの漫画を子供の頃に読んでいれば、考え方が今とは全然違う人間になっていたんではないかと思うほど、大きな衝撃を受けました。
GOMAさんの絵は、ブラックホールのように人を吸い寄せる力のある絵だと思います。
また、火の鳥を描いた作品を見た時はものすごい生命力を感じました。
色使いがとても綺麗で、今にも動き出しそうな素晴らしい作品です。
私は火の鳥の前で足を動かすことが出来なくなり、長い時間じっと絵を見つめていました。
こんな絵を描かせてしまう事故だったことを想像すると、とても恐ろしくもあり、高次脳機能障害はあまりにも酷で大きな試練だと思います。
しかしGOMAさんに命を残したこと、絵を描く才能を与えたことは神様に感謝したくなります。
GOMAとの会話
私は2017年に新宿で開催された個展へ行きました。
東京から広島の実家へ戻ることを決め、引越す直前くらいのタイミングでした。
TwitterでMONGOL800のキヨサクさんやEGO-WRAPPIN’の中納良恵さんが個展があることをツイートしていたのを見て、GOMAって誰だろ?と思いながらも、無料だしと思ってなんとなく足を運びました。
個展で一つ目に見た作品は”ひかり”というおそらくGOMAさんの代表的な作品で、一目でファンになりました。
多くの作品が飾られる中、火の鳥の作品を前に足を動かせなくなり、長い時間じっと絵を見つめていました。
すると、スタッフの方が声を掛けてくださり、会場の奥にも作品があることを教えてくださいました。
奥へ行くと、小さめな作品の数々と、GOMAさんご本人がいました。
今なら本も読んで、映像作品も見て、GOMAさんの情報をある程度は知っていますが、当時はGOMAさんがどんな人かなんて全く知りませんでした。
ですが、GOMAさんはとても柔らかい雰囲気の話しやすい方で、少しだけ作品のことも質問させてもらいました。
話の流れで今度東京から広島へ帰ることを伝えると、「第二の人生が始まるんですね」と言ってくださいました。
GOMAさんの「第二の人生」という言葉にはなんだか力がこもっていた気がします。
しかし私自身は、元々住んでいた地元へ帰るだけだし、ある程度想像のつく生活なんだよなーと、なんだか冷めた気持ちを持っていました。
今思うと、GOMAさんは事故に遭う前と遭った後で人生が一変したことを、私の”引越し”というイベントにも重ねてくださり、これから新たに始まる私の人生にエールを送ってくれたのではないかと思います。
ご本人は覚えていないでしょうが、私はあの時掛けてくれた言葉を今も忘れていません。
何度でも見たいGOMAの作品
東京に住んでいた頃は物価も高く、建築士の資格学校の費用を支払っていたこともあり貯金が全くと言っていいほどなかったので、GOMAさんの作品は買えませんでした。
しかし、もう一度GOMAさんの個展に行けるのなら、必ず買いたいと思うほどGOMAさんの絵に魅了されてしまいました。
コロナ禍でなければ今回の個展にも行きたいですし、欲を言えば広島で個展を開催してほしいと心から思います。
個展に直接行くのが難しいので、私は本で我慢します。
興味のある方は作品集「Monad」もチェックしてみてください。
まとめ
GOMAさんの絵は生命力に満ち溢れています。
コロナ禍で本来なら開催していたはずの別の個展もなくなってしまったのではないかと思います。
私は広島在住なので残念ながら行くことはできませんが、関東圏に住んでいても頻繁に見れるわけではありません。
この機会にぜひ一度GOMAさんの絵を見て、絵の素晴らしさ、命の美しさを感じてほしいと思います。
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